市販薬でできること・できないこと
市販の水虫薬で何ができて、何ができないのか。ここは「効く/効かない」という言葉ではなく、承認されている効能・効果の範囲という、確かめられる事実で整理します。
効能・効果の範囲に爪は入っていない
一般用医薬品のみずむし・たむし用薬には製造販売の承認基準があり、効能又は効果は「みずむし、いんきんたむし、ぜにたむし」の範囲と定められている。[1]
実際の製品でも確かめられる。PMDAの一般用医薬品の詳細表示で、テルビナフィン塩酸塩を有効成分とするラミシールATクリームの効能・効果は「水虫、いんきんたむし、ぜにたむし」であり、爪白癬(爪水虫)は含まれていない。[2]
つまり、市販薬の箱や添付文書に爪水虫が書かれていないのは書き忘れではなく、承認されている効能・効果がそこまでだからである。爪白癬に保険適用を持つ外用液2剤は医療用医薬品であり、直接鏡検または培養で爪白癬と確定診断された患者に使われる。[1][3]
足白癬には市販薬が使える
学会のQ&Aは、足白癬であれば市販されている水虫薬でも対処でき、病院で処方する外用薬と同じ主成分の水虫薬が数多く市販されていると説明している。[4]
そのうえで、処方薬との違いとして次を挙げている。[4]
- 市販薬は白癬菌に効く主成分だけでなく、クロタミトンやジブカインなど痒みを止める成分も配合されているため、病院で処方される薬よりかぶれる頻度が高い。
- 足白癬に十分な治療を行うためには、症状がないところを含め、両足に1日1g、1カ月に30g程度の外用が必要になる。
- 市販薬は保険が効かないため高価で、症状のある部分だけ治療するなど中途半端な治療に終わることが多いようだ、とされている。
学会は、足白癬とよく似た皮膚病の鑑別を含め、皮膚科専門医で診断を確かめてから十分な治療を行ってほしい、と結んでいる。市販薬の積極的な使い道としては足白癬の予防や再発予防が挙げられている(予防目的の処方は保険で認められていないため)。[4][5]
添付文書のどこを見るか
市販薬は、PMDA(医薬品医療機器総合機構)のサイトで製品ごとの添付文書情報を読める。見る場所は決まっている。[2]
- 効能・効果
- その製品で何を対象にできるかが書かれている。みずむし・たむし用薬では「みずむし、いんきんたむし、ぜにたむし」の範囲になる。
- 有効成分(成分分量)
- 1g中に何がどれだけ入っているか。処方薬と同じ主成分かどうかはここで分かる。
- リスク区分
- 第1類・第2類・指定第2類・第3類の区分。PMDAの表示では、指定第2類医薬品は数字を囲んだ形(第「2」類医薬品)で記載される。
- してはいけないこと
- 使用しない人、使用しない部位。みずむし・たむし用薬では、目や粘膜・陰のう・湿疹・湿潤やただれ、亀裂や外傷のひどい患部が挙げられている。
- 相談すること
- 使用前に相談する人の条件と、使用後に副作用の可能性がある症状。「湿疹かみずむしかがはっきりしない人」も相談の対象に挙げられている。
- 2週間の目安
- 2週間位使用しても症状が良くならない場合や、使用により症状が悪化した場合は使用を中止して相談する、と書かれている。
比較表をどう作るか(設計)
このサイトで医薬品を比べるときは、次の列だけで表を作る。すべて添付文書に書かれている事実である。
- 製品名(承認販売名)
- 有効成分と分量
- 剤形(クリーム・液・スプレーなど)
- 効能・効果(添付文書の文言そのまま)
- リスク区分
- 使用上の注意のうち「してはいけないこと」の要点
- 添付文書へのリンク(PMDA)
入れない列も決めておく。星の数・評価点・口コミ・ランキング順位・他社製品との効き目の比較・「売れている」順は入れない。医薬品でこれらを出すと、承認された効能・効果を超えた印象を与えることになる。
このページの出典
- 厚生省医薬安全局長通知「みずむし・たむし用薬製造(輸入)承認基準等について」(平成10年5月15日 医薬発第447号)別紙 二(五) 別紙 二(五) 効能又は効果
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta7531&dataType=1&pageNo=1(2026-10-10 確認) - 医薬品医療機器総合機構(PMDA)一般用医薬品・要指導医薬品 詳細表示「ラミシールATクリーム」(全薬工業株式会社) 効能・効果/リスク区分/使用上の注意
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/otcDetail/380101_J0601007391_09_01(2026-10-10 確認) - 日本皮膚科学会・日本医真菌学会合同 皮膚真菌症診療ガイドライン2025(日本皮膚科学会雑誌 135巻13号 2511-2566頁、2025年) p.2516「1.2 爪白癬」治療(内服・外用・その他)
https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/2013/08/19e2ae577a696f81acf51fdcc0173e2c.pdf(2026-10-10 確認) - 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 白癬(水虫・たむしなど)」 Q21 市販の水虫薬は病院でもらう薬とどこが違うのですか?
https://qa.dermatol.or.jp/qa10/q21.html(2026-10-10 確認) - 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 白癬(水虫・たむしなど)」 Q24 足白癬にならないようにするためには?
https://qa.dermatol.or.jp/qa10/q24.html(2026-10-10 確認)