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検査と診断

真菌症は感染症であり、診断の基本は病巣からの病原菌の検出です。見た目や症状だけでは決まりません。

直接顕微鏡検査(直接鏡検)

ガイドラインは、真菌症の診断の基本は病巣からの病原菌の検出であり、白癬の場合は皮膚糸状菌を顕微鏡で確認することだとしている。[1]

学会のQ&Aは、検査材料を採って苛性カリ(KOH)検査液となじませ、顕微鏡で観察することで早ければ数分で菌の有無が判定できると説明している。この顕微鏡検査で白癬菌が見つかれば白癬であり、見つからなければ白癬ではなく治療法も変わってくる。検査は比較的簡単だが医師側に判断できる能力が必要で、信頼できる皮膚科専門医での検査が勧められている。[2]

偽陰性を防ぐため、菌が多く存在する病巣部位からできるだけ多くの鱗屑を集めることが重要とされる(足白癬では水疱蓋、体部白癬では辺縁の環状部)。[1]

爪のどこから検体を採るか

爪では検体の採取部位が重要である。爪切りで爪甲剝離部位や爪の先端部を除去し、とくに爪床に近い深部を検査材料とする。表在性白色爪真菌症(SWO)では、点状ないし斑状に白濁した爪の表面をメスなどで削るのがよいとされる。[3]

硬い爪組織の採取にはグラインダーを用いる方法も挙げられている。[1]

真菌培養で分かること

普通の白癬菌ではない菌種による白癬が疑われたときは真菌培養を行う。検体の採り方は同じだが、判定に2週間ほどかかる。菌種が分かることで感染源が推定できることが多く、とくに頭・顔や体の露出部に生じた場合は積極的に培養を行って予防に役立てる、と学会は説明している。[2]

爪では白癬菌以外が原因の非白癬性爪真菌症もあるため、培養の結果が治療の選択に関わる。[3]

爪白癬の抗原検査キット

爪白癬には、爪のなかの白癬菌の抗原を検出するキットがある。抽出液で爪甲中の白癬菌抗原を抽出し、イムノクロマトグラフィーの原理で検出するもので、2016年3月17日に爪白癬の体外診断薬として製造販売承認を取得し、2022年2月1日に爪白癬の診断補助として保険収載された。ガイドラインが引いている日本皮膚科学会のステートメントでは、販売名は「デルマクイック爪白癬」と示されている。[4]

ガイドラインは、このキットの意義をこう説明している。直接鏡検では爪甲の溶解に時間を要し不完全な溶解となりがちで、菌要素の変形が強く非典型的な形をとることも少なくないため見落としやすくなる。キットは抗原を検出するので菌要素の形によらず検出でき、直接鏡検での見落としを防げる。キットの抽出液に入れた検体は、取り出してKOHで溶解し直接鏡検で観察することもできる。[4]

爪白癬診断キットは臨床試験の結果を鑑みると、KOH直接鏡検の補助検査としての十分な精度を有すると考えられる。しかし、爪白癬の診断においてはKOH直接鏡検が標準的な検査法であり、本キットはあくまでKOH直接鏡検の補完として使用されるべきである。

— GL2025 p.2530-2531「3.9 爪白癬抗原キット」[4]

保険で算定できる場面も限られている。KOH直接鏡検が陰性であったものの臨床所見等から爪白癬が疑われる場合、またはKOH直接鏡検が実施できない場合のいずれかに該当する場合で、理由を診療報酬明細書に記載することとされている。つまり、顕微鏡検査の代わりに最初からこれを使う検査ではない。[4]

このキットは死んだ菌の抗原にも反応するため、治療後でも陽性になることがある。また環境中に存在する一部の糸状菌にも反応するため、検体が汚れていると薄い線が出ることがある。結果の読み方は医師の判断による。[4]

自分で判断できない理由

[1][3][5]

ガイドラインは、真菌症が疑わしい病巣をそれぞれ複数箇所鏡検することが診察の上で大切だとしている。内服か外用か、どの系統の抗真菌薬を選ぶかに関わるためである。[1]

このページの出典

  1. 日本皮膚科学会・日本医真菌学会合同 皮膚真菌症診療ガイドライン2025(日本皮膚科学会雑誌 135巻13号 2511-2566頁、2025年) p.2522「第2章 真菌検査法 1.直接顕微鏡検査」
    https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/2013/08/19e2ae577a696f81acf51fdcc0173e2c.pdf(2026-10-10 確認)
  2. 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 白癬(水虫・たむしなど)」 Q7 白癬はどのようにして診断されるのですか?
    https://qa.dermatol.or.jp/qa10/q07.html(2026-10-10 確認)
  3. 日本皮膚科学会・日本医真菌学会合同 皮膚真菌症診療ガイドライン2025(日本皮膚科学会雑誌 135巻13号 2511-2566頁、2025年) p.2515-2516「1.2 爪白癬・爪真菌症」定義・症状・診断
    https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/2013/08/19e2ae577a696f81acf51fdcc0173e2c.pdf(2026-10-10 確認)
  4. 日本皮膚科学会・日本医真菌学会合同 皮膚真菌症診療ガイドライン2025(日本皮膚科学会雑誌 135巻13号 2511-2566頁、2025年) p.2530-2531「3.9 爪白癬抗原キット」
    https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/2013/08/19e2ae577a696f81acf51fdcc0173e2c.pdf(2026-10-10 確認)
  5. 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 白癬(水虫・たむしなど)」 Q12 足が痒ければ足白癬と考えていいですか?
    https://qa.dermatol.or.jp/qa10/q12.html(2026-10-10 確認)